
さんぺーです。
店主でありメカニックの「さんぺー」と申します。
自転車の地域復興系の仕事をしていく中、沼津市でたくさんのサイクリストの方々とお話をさせていただいたのですが、「近くに快く面倒を見てもらえるプロショップが無い」という悩みを聞くことが多くありました。
サイクリストのみなさんに安心してサイクリングを楽しんでもらいたいという思いから、沼津市の内浦に洗車メンテナンスの専門店を立ち上げました。
自転車に関わってから今日まで
僕がスポーツサイクルに触れるきっかけになったのは大学3年生の11月。当時順天堂大学の体育会水泳部で副主将をしていた僕が、水泳競技人生の最後のシーズンで肩を故障してしまったことから始まります。
僕は水泳選手の中でも肩や肘の可動域がかなり広い選手だったのですが、その広すぎる可動域は遂にパワーに耐えられませんでした。泳ぐだけで指先や肘、肩が痺れていき、指先はどんどん冷たくなっていき、終いには感覚そのものがなくなるという状態になってしまったのです。
控えめに言っても肩の故障は水泳選手には致命傷。しかもそれをやってしまったのは学生競泳生活の本当のホントに最後のシーズン。僕は5歳から水泳選手をしていたのもあり、「17年も続けた水泳の終わり方がこれかよ・・・」と失意に沈みそうになりましたが、僕は名門の順天堂大学水泳部の副主将。仲間を残して水泳部を離れるわけにはいきませんでした。
そんな時に僕がロードレーサーに乗るきっかけをくれたのが、沼津市出身で自転車競技部に在籍していた親友でした。
僕は水泳部で彼は自転車部でしたが、彼とは普段から部活関係なく仲良くしていて、冬が始まる時期に3本ローラーで大汗をかいているその親友を見て「これしかない」と思いました。
自転車競技は胸から下。その全てを鍛えるスポーツ。肩を壊した僕が水泳選手として最後まで泳ぎ切るには、この「ロードレーサーに乗る」という手段しか残されていない。直感的にそう感じた僕はすぐに貯金を下ろし、千葉県の新習志野駅の向かいにあったスポーツデポでセールになっていたロードバイクを購入。
その親友のアドバイスの元、105組のアルミのTCRを購入しました。
ひたすらに乗りました。親友も練習に連れ出してくれました。
納車した翌週には40km/h越えで連れ回されたのも良い思い出です。本当に彼には感謝しています。
そして僕は下半身メインに改良した泳ぎで、なんと2度の自己ベストタイムを記録。
故障したばかりの頃、もう選手として満足に泳ぐことは無理かもしれないとさえ思っていた僕は、結果として自己ベストを更新。千葉県短水路選手権においては自信最高の銀メダルを獲得しました。当時平泳ぎの激戦区と言われていた千葉県において銀メダルの獲得。まさか自分がここまで戻ってこれるとは思いませんでした。
そこでふと気になったのです。
僕をここまで再度引き上げてくれたこの乗り物は一体なんなのだろう。と。
もちろん親友の助けがあってこそですが、実際、自転車に乗ることで「ここの筋肉ってこういう使い方ができたんだ」と気付かされることも多かったです。
僕は自転車というものから、水泳選手として多くの気づきを得ましたが、
大学でスポーツ科学や運動学を学んでいた身でもあったので余計に、その気付きに戸惑いました。
「視点が変わるだけでこんなに見えるものが違うのか」
自分の見てきたことは、どれだけ小さなことだったのだろう。
水泳しかやってこなかった自分の見えていたものは、どれだけちっぽけだったのだろう。
もっとコレのことを知りたい。そう思った僕は親友にもう一度連絡を取り、、、、、
トレーニング法、クリテリウムの走り方。
クリートの付け方、補給食の摂り方。
車輪の外し方、パンクの直し方、バーテープの巻き方、ハンドルの変え方、ワイヤー調整の仕方。
あげればキリがありませんが、文字通りゼロから教えてもらいました。
学んでいくうちに気づけば自転車に関わる仕事がしたいと思うようになり、
大学競泳引退直後から自転車レース-クリテリウム-をいくつか経験し、
大学卒業後は大手自転車販売店に就職。
その課程で「水泳を辞めた自分はここまで価値がなかったのか」と失望したこともありましたが、
仕事が休みの日には、プロショップ勤めとなった親友の元に通い、手取り足取り技術やトレーニングを教えてもらいました。
今の僕があるのは、間違いなく彼のおかげです。
今の僕はもうレーサーとしては全く走らなくなり、日々を充実させる楽しいサイクリングしかしていませんが、
ありがたいことに日本代表選手になるような方々からも自転車をお預かりするメカニックになりました。
僕が自転車に乗る以前、親友のパソコンの中を日の丸を背負って走っていたご本人から、日の丸がデザインされた本物のバイクをお預かりした時は、指どころか声まで震えたのをよく覚えています。
僕は、自転車によって人生が変わりました。
でもそれは僕のすぐ隣に、いつでもなんでも頼れる超メカニック級の親友がいてくれたからの話し。
もし彼が居らず、1人で自転車を初めて1人で乗っていたら、降りていただろう、乗らなくなっていただろうタイミングがいくつもありました。
僕はたまたま出逢いに恵まれていただけ。
僕はこの度、自転車の聖地”伊豆半島”で自分のプロショップを立ち上げました。
店名は【 Re:RIDE. 】
もう一度走ろう。もう一度乗ってみよう。誰かのそんなきっかけになりたいとそんな意味を込めました。
そしてお客さんにとっての僕が、僕にとっての彼のような存在でありたい。
壁を感じず頼れる存在でありたい。そんな願いも込めています。
どこで買ったものかなんて関係ありません。
いくらだったとか、持ち込みパーツとかも一切関係ありません。
1台1台ドラマがあり、そこには他にない一人一人の思いがあります。
それを尊重できる場所であり続けることを信念に、お店を経営していきたいと思っています。
今年で27歳になったばかりの新人店主ですが、みなさんのために頑張っていきます。
みなさん今後ともよろしくお願いいたします。
Re:RIDE. 店主 さんぺー